爆裂無敵 番外王 小説編 第28話
2007年 05月 12日
たとえ錐手に入れようが狂ったように狩りをしない。
それが Dr 林だ。 今日もいかがお過ごしか。
いやー、暑い。
毎日毎日すがすがしいほど晴れた空を窓から眺めつつ、風鈴の音を聞いて静かにお盆をすごす。
今年はちょっと風流に。
(更新日 2007/8/17)
爆裂無敵 番外王 第28話 ~理不尽な力とねじ伏せる勇気~
激しい斬撃がある程度つづけられたが、かわすにはそれほど苦労はしなかった。
そのことに気づいてか、ハワードは攻撃の手を止める。
「ふむ…、いくら手数で勝負に出たところで当たるわけもなし…か。」
斬撃は攻撃の軌道が鋭く、殺傷力が強い反面…わずかな動きで攻撃を完全にかわせてしまう面も持ち合わせる。
人間は立ち歩く生き物なので凪ぐ攻撃に若干不利があるが…。
それでも俺にとってはさほど苦労する攻撃でもなかった。
「だが番外王、かわしてばかりではどうにもならないぞ?」
「ふん…。お前も脳がきちんと動いてるなら、どうして攻撃しないかなんてわかるだろ?」
「はは…アグレッシブになれるほど、キミには耐久力というのはないからねぇ?」
いやみな物言いだが、事実である。
この世界の冒険者たちはそれなりに耐久力があるのか、ちょっとやそっとではそれほどダメージを負うことはないようだ。
俺の生命力は…実際のところ駆け出しの魔導師(マジシャン)より低い。
野にいる小動物などは別として、攻撃を喰らえば、俺は一撃で死にかねない。
ここの世界の冒険者との圧倒的な生命力の差…。
それを埋めるのは、暗殺者(アサシン)を超える絶対的危機回避に他ならない。
この絶対的危機回避にもいろいろと条件がある。
異常なまでに精神力を使うことと、経験が浅ければ誤った行動をしかねるというところだ。
過去に俺はなんども危ない目にあってきたが、現実世界に残してきた俺の相棒のおかげで救われ、経験として培ってきている。
今現在はその相棒はいないが、コレまでの経験と直感でセイレンとイレイザーを制したが…。
今度はそのまま能力をコピーしたのが相手というのはかなり予想外だ。
自惚れているのは自覚しているが自分だけの特権だと思ってたのに。
迂闊に手を出せばまず、隙を突かれる。
この能力を持っている以上確実に逃すことはないだろう。
隙を突かれたら最後、耐える生命力など持ち合わせてはいない…。
とはいえ、いつまでもこう避けてばかりでもしょうがない。
連撃も無駄だと悟った頃だろうし、すこし味のある技でも出してくれれば…隙がうかがえるのだが。
「あくまでも、専守防衛かい?賢すぎて涙が出てくるよ。」
「そ~いつはどうかなぁ?」
「ふうん?ではやって見せてよ?」
不敵に笑い、こちらを挑発するハワード。
「後悔すんなよっ!」
ダッ!!!!
俺はハワードに向かって駆け出した!
「うおおおおおおお!!!!」
俺は左手で箒の柄の部分で突きを放つ構えをとりながら突進した!
だが、コイツの行動パターンは大体読めている!
確実に『迎撃』がくる!!
ズキン…!!
来る!!
「烈風拳!!!!!」
攻撃を仕掛ける少々前に、ハワードが右手を振り上げ…そこから青白い波動が発生して俺を襲う!!
ザスッ!!
突きに必要なチャージングポーズからそのまま地面に箒を突き刺し、そこを軸にして体振らせ、烈風拳を回避する!
その勢いでヤツに蹴りを──────
ズキン…!!
くっ…まだか!
「ダブル烈風拳!!!!!!」
振り上げた右手をそのままに、そのまま左手を振り上げて同じ青白い波動を俺に向けて発射する!
ゾスッ!!
蹴りをするはずだった右足を急遽地面に落とし蹴り、左烈風拳の軌道から離れるように飛び退く!
ちぃ!この飛び退いたときの体のひねりをつかって箒の部分でもいい!ヤツに一撃を…!
ズキン…!!!
3段構え!!!?
「レイジング…」
振り上げてクロスさせている両腕の手を握り締め力を溜めたハワードは…。
「ストーーーーーーーーーーームッ!!!!」
勢いよく振り下ろし、天を貫くような勢いで叫ぶ!!
ズゴォッ!!!!!
ソレと同時にハワードの周辺にいきなり竜巻と雷が起こる!!
ドドドドドドドドドドッ!!!!
そして、下から青白い波動が飛び乱れる!!!
「おおおおおおおおおおっっ!!!」
上から振りかぶる予定だった箒の軌道をそのまま地面に向かってスイングして、地面の砂をかきあげる形で自身の体の軌道を外に持っていき…ハワードの領域から脱出した!
っかー~ッ…スキがねえな、ほんとに。
と、言うよりも…俺の行動までも想定済みということなのか?
だとしたら、相当キレるということなんだろうか?
ドドド…。
波動がおさまり、ハワードの姿が見えてくる。
「…ク、クク…! 番外王、キミって本当に…すごいよ、すばらしいよ!最高のオモチャだ!」
オモチャぁ??
ハワードに言われてムっときた。
「こんなに思い通りにならないオモチャなんて生まれて初めてだ! 先ほどの攻撃は絶対的な自信があったのにそれすらもヒラリヒラリとかわす…!」
「ちょ、お前勝手なこと言うな。それにお前、俺を試すとかどうとかいってなかったか?」
「そんなものはこの際どうだっていい!!」
「はあ!?」
「キミにどう攻撃すれば当てることができる?キミにどういった行動をすれば困惑させることができる?教えてくれ!番外王!!!」
間違いなく一つ言えることは、困惑してるのは現在進行形だ。
…。
彼らの組織、たしかチルドレンといったか。
見てくれは普通に若いが、実際のところ年は相当食っているのだろう。
プロトタイプ型に限ったことなのかも知れないが…。
だから、全く予想もしない新しい出来事に異様な興奮を覚える。
セイレンのときもそうだった。
彼も途中から俺との戦闘に我を忘れていた節があった。
そして、ハワードもそう。
現に我を忘れて、俺にどうすれば攻撃が届くかということしか頭にない。
それほどまでに俺は刺激的な存在なのか?
「そうだ!この攻撃ならかわせまい!!」
そういうと、ハワードは斬鉄剣をもって構える。
「はっ!!!!」
そういって右手が少し動いたところから…
ドクン!!!
俺の領域時間が始まる。
あの手の動きがなんとなく読めるが、相当な腕の速さで上下左右に動いていると読み取る。
…。
碁盤斬り?
斬鉄剣の攻撃は斬撃の波動だけだったがその波動が五目状に飛んでくる…ということか?
それだと広範囲に斬撃がひろがり、横っ飛びだけではまず確実に切り刻まれてしまう。
…なるほどね。
ダッ!!!
俺はハワードにむかって駆け出した。
斬!!!!
ハワードから五目状の斬撃波動が襲ってくる!!!
俺は低空でジャンプし、体をできるだけ水平にしながらそのままもくめの間を縫う!
そのジャンプの勢いでヤツに一撃を!!!
ブン!!!!
ジャストタイミングで箒の部分を振るう!!!
カッ!!!
だが、しまい終えた斬鉄剣の柄の部分をとっさに突き上げられて弾かれてしまう!
っちぃ!! やりたくはなかったが…これしか!!
俺は弾かれた体勢のまま波動砲(エネルギーウェイブ)のボタンを押した!
ドバアァッ!!!!!
ものすごい衝撃とともに、ハワードに波動砲をあびせ…
たとおもったが、それすらも横に回避している!?
われながら言うのもなんだが、本当に反則に近いな…この能力。
なんていってる場合ではなかった!!!
反動がでかすぎる!!!!
若干箒の柄が上に向いていた状態だったので、踏ん張りも効かずにそのまま空にぶっ飛んでしまう!!!
「のうああああああああああああああ!!!??」
ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!
なんとか、なんとか無事に着地しなくては!!!
この場合箒の柄の方向が進行方向なのだから…!
ガシッ!!
突っかけサンダルを竹の目に引っ掛けてそこをテコの軸にし、腕で柄の部分を地面に向けた!!
ィィイイイン!!!!
ズドォンッ!!!!!
豪快に砂煙を上げ、着地する。
っつぁ~…。
だが、波動砲のクセは大分わかった。
これは使い方次第で相当有力に使えそうだ。
…カレンが試し撃ちしたためか、メモリは残り一発だが。
「はぁ…はぁ…つ…くう…??」
かわしたはずのハワードが苦悶の表情を見せる。
おそらく「絶対的危機回避」で消耗する精神力が限界に迫ってるのだろう。
俺のように毎回鍛えていなければ5度くらい発動したら発狂物である。
限界が来たとしても狂い死ぬまで回避は可能なのだから油断はならないが。
だが…、これはこちらの勝機が見えてきたことにもなる。
ただし…今回も一発限りの勝機だが。
問題は…どのタイミングで切り出すか…か。
いきなりしゃべらなくなったハワードに対し、俺は息を整えて竹箒を構えなおした。
それが Dr 林だ。 今日もいかがお過ごしか。
いやー、暑い。
毎日毎日すがすがしいほど晴れた空を窓から眺めつつ、風鈴の音を聞いて静かにお盆をすごす。
今年はちょっと風流に。
(更新日 2007/8/17)
爆裂無敵 番外王 第28話 ~理不尽な力とねじ伏せる勇気~
激しい斬撃がある程度つづけられたが、かわすにはそれほど苦労はしなかった。
そのことに気づいてか、ハワードは攻撃の手を止める。
「ふむ…、いくら手数で勝負に出たところで当たるわけもなし…か。」
斬撃は攻撃の軌道が鋭く、殺傷力が強い反面…わずかな動きで攻撃を完全にかわせてしまう面も持ち合わせる。
人間は立ち歩く生き物なので凪ぐ攻撃に若干不利があるが…。
それでも俺にとってはさほど苦労する攻撃でもなかった。
「だが番外王、かわしてばかりではどうにもならないぞ?」
「ふん…。お前も脳がきちんと動いてるなら、どうして攻撃しないかなんてわかるだろ?」
「はは…アグレッシブになれるほど、キミには耐久力というのはないからねぇ?」
いやみな物言いだが、事実である。
この世界の冒険者たちはそれなりに耐久力があるのか、ちょっとやそっとではそれほどダメージを負うことはないようだ。
俺の生命力は…実際のところ駆け出しの魔導師(マジシャン)より低い。
野にいる小動物などは別として、攻撃を喰らえば、俺は一撃で死にかねない。
ここの世界の冒険者との圧倒的な生命力の差…。
それを埋めるのは、暗殺者(アサシン)を超える絶対的危機回避に他ならない。
この絶対的危機回避にもいろいろと条件がある。
異常なまでに精神力を使うことと、経験が浅ければ誤った行動をしかねるというところだ。
過去に俺はなんども危ない目にあってきたが、現実世界に残してきた俺の相棒のおかげで救われ、経験として培ってきている。
今現在はその相棒はいないが、コレまでの経験と直感でセイレンとイレイザーを制したが…。
今度はそのまま能力をコピーしたのが相手というのはかなり予想外だ。
自惚れているのは自覚しているが自分だけの特権だと思ってたのに。
迂闊に手を出せばまず、隙を突かれる。
この能力を持っている以上確実に逃すことはないだろう。
隙を突かれたら最後、耐える生命力など持ち合わせてはいない…。
とはいえ、いつまでもこう避けてばかりでもしょうがない。
連撃も無駄だと悟った頃だろうし、すこし味のある技でも出してくれれば…隙がうかがえるのだが。
「あくまでも、専守防衛かい?賢すぎて涙が出てくるよ。」
「そ~いつはどうかなぁ?」
「ふうん?ではやって見せてよ?」
不敵に笑い、こちらを挑発するハワード。
「後悔すんなよっ!」
ダッ!!!!
俺はハワードに向かって駆け出した!
「うおおおおおおお!!!!」
俺は左手で箒の柄の部分で突きを放つ構えをとりながら突進した!
だが、コイツの行動パターンは大体読めている!
確実に『迎撃』がくる!!
ズキン…!!
来る!!
「烈風拳!!!!!」
攻撃を仕掛ける少々前に、ハワードが右手を振り上げ…そこから青白い波動が発生して俺を襲う!!
ザスッ!!
突きに必要なチャージングポーズからそのまま地面に箒を突き刺し、そこを軸にして体振らせ、烈風拳を回避する!
その勢いでヤツに蹴りを──────
ズキン…!!
くっ…まだか!
「ダブル烈風拳!!!!!!」
振り上げた右手をそのままに、そのまま左手を振り上げて同じ青白い波動を俺に向けて発射する!
ゾスッ!!
蹴りをするはずだった右足を急遽地面に落とし蹴り、左烈風拳の軌道から離れるように飛び退く!
ちぃ!この飛び退いたときの体のひねりをつかって箒の部分でもいい!ヤツに一撃を…!
ズキン…!!!
3段構え!!!?
「レイジング…」
振り上げてクロスさせている両腕の手を握り締め力を溜めたハワードは…。
「ストーーーーーーーーーーームッ!!!!」
勢いよく振り下ろし、天を貫くような勢いで叫ぶ!!
ズゴォッ!!!!!
ソレと同時にハワードの周辺にいきなり竜巻と雷が起こる!!
ドドドドドドドドドドッ!!!!
そして、下から青白い波動が飛び乱れる!!!
「おおおおおおおおおおっっ!!!」
上から振りかぶる予定だった箒の軌道をそのまま地面に向かってスイングして、地面の砂をかきあげる形で自身の体の軌道を外に持っていき…ハワードの領域から脱出した!
っかー~ッ…スキがねえな、ほんとに。
と、言うよりも…俺の行動までも想定済みということなのか?
だとしたら、相当キレるということなんだろうか?
ドドド…。
波動がおさまり、ハワードの姿が見えてくる。
「…ク、クク…! 番外王、キミって本当に…すごいよ、すばらしいよ!最高のオモチャだ!」
オモチャぁ??
ハワードに言われてムっときた。
「こんなに思い通りにならないオモチャなんて生まれて初めてだ! 先ほどの攻撃は絶対的な自信があったのにそれすらもヒラリヒラリとかわす…!」
「ちょ、お前勝手なこと言うな。それにお前、俺を試すとかどうとかいってなかったか?」
「そんなものはこの際どうだっていい!!」
「はあ!?」
「キミにどう攻撃すれば当てることができる?キミにどういった行動をすれば困惑させることができる?教えてくれ!番外王!!!」
間違いなく一つ言えることは、困惑してるのは現在進行形だ。
…。
彼らの組織、たしかチルドレンといったか。
見てくれは普通に若いが、実際のところ年は相当食っているのだろう。
プロトタイプ型に限ったことなのかも知れないが…。
だから、全く予想もしない新しい出来事に異様な興奮を覚える。
セイレンのときもそうだった。
彼も途中から俺との戦闘に我を忘れていた節があった。
そして、ハワードもそう。
現に我を忘れて、俺にどうすれば攻撃が届くかということしか頭にない。
それほどまでに俺は刺激的な存在なのか?
「そうだ!この攻撃ならかわせまい!!」
そういうと、ハワードは斬鉄剣をもって構える。
「はっ!!!!」
そういって右手が少し動いたところから…
ドクン!!!
俺の領域時間が始まる。
あの手の動きがなんとなく読めるが、相当な腕の速さで上下左右に動いていると読み取る。
…。
碁盤斬り?
斬鉄剣の攻撃は斬撃の波動だけだったがその波動が五目状に飛んでくる…ということか?
それだと広範囲に斬撃がひろがり、横っ飛びだけではまず確実に切り刻まれてしまう。
…なるほどね。
ダッ!!!
俺はハワードにむかって駆け出した。
斬!!!!
ハワードから五目状の斬撃波動が襲ってくる!!!
俺は低空でジャンプし、体をできるだけ水平にしながらそのままもくめの間を縫う!
そのジャンプの勢いでヤツに一撃を!!!
ブン!!!!
ジャストタイミングで箒の部分を振るう!!!
カッ!!!
だが、しまい終えた斬鉄剣の柄の部分をとっさに突き上げられて弾かれてしまう!
っちぃ!! やりたくはなかったが…これしか!!
俺は弾かれた体勢のまま波動砲(エネルギーウェイブ)のボタンを押した!
ドバアァッ!!!!!
ものすごい衝撃とともに、ハワードに波動砲をあびせ…
たとおもったが、それすらも横に回避している!?
われながら言うのもなんだが、本当に反則に近いな…この能力。
なんていってる場合ではなかった!!!
反動がでかすぎる!!!!
若干箒の柄が上に向いていた状態だったので、踏ん張りも効かずにそのまま空にぶっ飛んでしまう!!!
「のうああああああああああああああ!!!??」
ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!
なんとか、なんとか無事に着地しなくては!!!
この場合箒の柄の方向が進行方向なのだから…!
ガシッ!!
突っかけサンダルを竹の目に引っ掛けてそこをテコの軸にし、腕で柄の部分を地面に向けた!!
ィィイイイン!!!!
ズドォンッ!!!!!
豪快に砂煙を上げ、着地する。
っつぁ~…。
だが、波動砲のクセは大分わかった。
これは使い方次第で相当有力に使えそうだ。
…カレンが試し撃ちしたためか、メモリは残り一発だが。
「はぁ…はぁ…つ…くう…??」
かわしたはずのハワードが苦悶の表情を見せる。
おそらく「絶対的危機回避」で消耗する精神力が限界に迫ってるのだろう。
俺のように毎回鍛えていなければ5度くらい発動したら発狂物である。
限界が来たとしても狂い死ぬまで回避は可能なのだから油断はならないが。
だが…、これはこちらの勝機が見えてきたことにもなる。
ただし…今回も一発限りの勝機だが。
問題は…どのタイミングで切り出すか…か。
いきなりしゃべらなくなったハワードに対し、俺は息を整えて竹箒を構えなおした。
by drhayasi
| 2007-05-12 06:03
| 番外王 チャプター2